今、なぜ技術なのか?

伝統的な手織は、幾多の専門の職種に分業され、非常に高度な職人技を必要とします。要求される技術は常に一定です。

一 方、趣味の手織の場合、手織の技術は人によってそれぞれ違うのが現状です。各地の教室でも先生ごとに違うと言っても過言ではありません。趣味で織る人は、 多岐にわたる様々な作業をすべて一人でこなさなければいけません。その上、プロに比べて作業に費やす時間が遥かに少ないのです。そのため、忘れたり、うろ 覚えのまま、自分の判断を優先してしまいがちです。やがてその方法を繰り返すうち、自分の方法が一番だと錯覚するようになります。

本来、「技術」とは「時間と労力を省くための効率的な方法」であるべきです。ところが困ったことに、自分のやり方に慣れている人は、その方法よりもっと労力 を省ける方法があったとしても、なかなかそれを改めようとしません。もし、教室の先生など指導する立場にある人のやり方に問題がある場合、そのやり方が生徒に伝わってしまいます。

新しく手織を習う人には、作業の面ではできるだけ簡単な方法を習得してもらうのが一番です。慣れるのなら、最良の方法になれるべきです。適切な「技術」によって作業が簡略化されたら、余った力を「感性を活かす」ことに振り向けることができるのですから。

そこで、このたび、手織のベテラン指導者の衆知を結集し、さをりを含めた手織技術を集大成し、最良の方法をまとめあげました。そして、それを新たな検定制度として、世に問うことにしました。

手織が多くの人に普及し、改めて感性の手織に関心が持たれるようになった今こそ、「技術」を標準化する必要があるのです。

「技術」を、手織とさをりを愛するすべての人のために。